キミのこと痛いほどよく分かる
また...この子。

私の顔を、涙目で覗き込んでいる。

だれ、なんだろう。

「...せん、せ...?」

「...。」

男の子の顔が、どことなくあの人に似ていた。

「わたし...なに、も...、わるく、ない。」

「...。」

「そうでしょ、せんせい。」

彼は何も言わず、
また、小さな手を伸ばした。

それが、やがて、大きな広い手になって、
私を包み込んだ。

あかいつきの...、

ああ、そうだ。

そういうことなんだ...。
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