キミのこと痛いほどよく分かる
「暁先生、
201号室の真壁さんのことなんだけど。」

「はい。」

「ちょっと気になったのよ。
やっぱり、先生もそれでお引き留めなさったんでしょう?」

「いえ...それは...。」

「だって、変じゃありませんか?
何度も外に抜け出して倒れている娘さんなんですよ。普通は心配して家族の方などお見舞いぐらいくるでしょう?」

「ええ...まあ。」

「それに今朝電話したときだっておかしかったんですよ。
まるで他人事みたいな感じで。」

「そうなんですか。」

「ええ。
それに娘さんもなんだか、昨日はまるで目が死んでいたのに、今日はなんだかスッキリしてて。
何か精神的な問題があるんじゃないでしょうか。」

「...なるほど。」

「それに、娘さん、切り傷や痣が身体にいくつかあるなんて話も同僚からきいたんですよ。
もしかして、家庭内で...。」

「それは、まだ分かりませんが、そのことも視野に含めて改めて詳しく検査してみます。」

「ええ、お願いします。
それと、先生。」

「はい...?」

「余計なお節介かもしれませんが、近頃顔色が悪いですよ。
もしかして、またお身体悪いんですか?」

「いいえ。大丈夫です。」

「...大変ですね。
お大事になさってくださいね。」

「はい、ありがとうございます。」
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