キミのこと痛いほどよく分かる

「でも、今日伝えたかったのはそんなことじゃない。君に失望して欲しくない。


君を助けたい。」


...。



この人、医者には不向きだ。


医者にしては、人間すぎる。

それじゃあ、患者に自分の感情論を押し付けているだけじゃないか。

それは、医者として1番やっちゃいけないことじゃないだろうか。

この人は医者失格だ。

この人を信用しちゃいけない。

うさんくさい、ただのヤブ医者だ。

...。


いくら、心の中でそう足掻いてみても。

彼の瞳に溺れていく。

彼を否定できる者など誰も存在しない。

何もできない。

彼の得体も知れない力に、抵抗できる術もない。

くやしい。

...。

それからは、
彼のなすがままだった。

学校のことも家族のことも、
全て吐かされてしまった。

「...ひっく。」

泣きすぎて、上手く喋れない。

でも、

こんなに誰かに自分の気持ちを、

きいてほしいと思ったことがあっただろうか。
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