キミのこと痛いほどよく分かる
奇跡
「そうか...。
大した無理をしたな。」

暁先生は、病院で乾いた笑みをこぼす。

でも、それも私には意図的なことだって分かる。

「退院してから保護するまでに、わざわざ一度家に帰るって言うから、どうしたのかと心配したけど...。」

「私は大丈夫です。
先生こそ、大丈夫なんですか?」

「なにが...?」

「私が退院した日、具合が悪いって休んだじゃないですか。」

「ああ...、そうだったな。
すまなかった。」

「いえ。
でも、よく体調悪くなるときがあるみたいだから、心配です。」

先生は少し驚いたようだった。

「俺の心配なんて...いや、ありがとう。
まあ、大したことじゃないけど、持病があるから。」

「え...大丈夫ですか?」

「うん。普通、持病ある医療従事者なんて受け入れてくれない場所も多いけど。病院の方も、認知してくれてるみたいで、迷惑かけながらも一応仕事はしてるよ。」

「そうですか...。」
< 33 / 64 >

この作品をシェア

pagetop