キミのこと痛いほどよく分かる
数時間前...。

「305号室の患者さん、奇跡的に回復したそうよ。」

「本当?
なんだか、こういうこと、多いわよね。
前の癌の患者さんも、一時は危篤状態まで悪化したのに、脳の腫瘍が消えて、簡単な治療で済んじゃったんだものね。」

「変だと思わない?」

「そりゃあ、変だとは思うけど。」

「それもこれも...暁先生が来てから...じゃない?」

「...確かに。
というか、回復した患者がほぼ全部暁先生担当じゃなかった?」

「ええ...。そうじゃないとしても、回復した期間が全部暁先生の夜勤勤務前後よ...。」

「そういえばどれもこれもおかしいわ。
まだあんなに若いのに、大変な仕事任されてるし。持病とかあって、病院にとっては面倒な人のはずなのに、優遇されてる感じだし。」

「それと...。回復した直後、暁先生急に休まない?」

「ああ、確かにそれもあるわね...。
でも、だからって、暁先生と...具体的にどんな関係があるのかしら。あの人は魔法が使えるってわけじゃないでしょ?」

「分かんないわよ。
もしかしたらそういう可能性もあるわよ。」

「まさか。」

「そういえば、201号室にいた真壁さんも先生担当だったわよね。」

「ああ、あの女の子?
今日また、顔見せにくるらしいわよ。」

「家庭内とか、色々複雑らしいからね。
心配ではあるけど。」

「私たちは先生のいうことに従うだけよ。
そろそろ仕事戻りましょう。」

「ええ。」
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