キミのこと痛いほどよく分かる
手続きなどが終わるまでしばらく暇を持て余していた。

仕方がないので、病院の外の散歩を始めた。

そこで。

「...。」

幸せそうに微笑む知らない家族の姿がある。

小学生になるぐらいの女の子が、父親の手を引いて歩いている。

その様子を母親が微笑ましそうに見つめる。

「ねえ、パパ、
もうすぐ退院できるんでしょ?」

「うん、さくら、今までありがとう。」

「えへへ、病気治ってほんとうによかった!
一緒にまた自転車でサイクリングしにいこうね。」

「うん、約束。」

...。

「神様って本当にいるのね。」

母親がふと呟く。

「ああ。
あの日、夢の中で男の子に会ったんだ。」

「男の子...?」

「ちょうどさくらと同じぐらいの男の子でさ。手を引いて、ここまで連れて来てくれたんだ。」

「その男の子が、かみさまかなー。」

「どうだろうね。
パパはそう思ってるよ。」

男の子...。

私が見た男の子と...、


「先生と、同じ...?」

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