キミのこと痛いほどよく分かる
「間違いありません。
この子...です。」

「...。」

彼の姉、ゆかりさんは、
私と目を合わせると、

困ったような笑みを浮かべた。

「そんなこと、あるのね。」

「ゆかりさん...やっぱり、先生は...。」

「今思えば私も見た気がするわ。
まだ私も光も小さかった頃。
夢の中で光が私に手を差し伸べてくれたの。」

「...。」

「あのときは悪い夢だと思っていたの。
でも...。
あれは、光が...。」

ゆかりさんは、確信がついたようだった。

私に、丁寧に過去の出来事を話した。

「両親が詐欺に騙されて、借金を重ねていくうちにもう何も無くなって...光を残して皆で心中しようとしたのよ。」

「...。」

「でも、目が覚めると、皆かすり傷ひとつなく、ただ床に倒れていただけだった。
それを見た光は言ったわ。
なあんだ、みんな疲れてお昼寝してたんだねって...。」

「...。」

「そのあと、光は友達と遊びに行って、行方が分からなくなったの。
家族みんなで探し歩いて、見つからなくて...。
何事もなかったように突然帰ってきたのは、それから3日ほどたってから。」

「それは...。」

「ええ。本当は友達と遊びに行ってたんじゃない。もしかしたら、光には不思議な力があって、それを使ったがために、体調が悪化してたのかもしれないわ。」

「だとしたら...このままじゃ。
先生のところへいかないと。」

「私もいくわ。」
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