キミのこと痛いほどよく分かる
「君は、優しいんだな。」

「...いえ。」

彼は、私の頭にそっと手を置いた。

「君のこと、分かるんだ。
痛いほど、よく。」

「...。」

「君が今までどれだけ苦しんできたのか。
...痛くても分かってもらおうと必死だった。

君は決して間違っていないよ。」

「...さっき、また力を使ったんですね。」

先生は、私の頭をくしゃっとして笑った。

嫌だ、そんなの。

じゃあ...
今は先生が、痛がってるって。
分かるから。

私は、それを拒むことができないから。

「それなら、私と約束してください。
もうその力は使わないって。」

私が間違っていないのなら。

どうして、そんな顔をするの。

私は、先生を。

あなたを、

助けたいだけなのに...。
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