どうしたらヤンキーになれますか!?-六花の恋ー【完・修正中】
「あ、そう、ですか……」
作之助は怒っているようではない……。けど、わたし、怒られるよね……。
「………」
「………」
妙な沈黙が落ちる。
わたしから口を開くにしても、何を言ったらいいんだろう……。
そもそも作之助はどこまで知っててここにいるんだろうか……。
「さっき――」
ベンチに座ったわたしの前に立つ作之助が、わたしを見おろしながら言った。
「水都さんのクラスの人から、水都さんが暴走して他校に乗り込もうとしてるからどうにかしてって言われたんだけど」
「………」
ぼ、暴走……。言い返せない……。
言葉に続いて作之助がしゃがんできたから、今度は作之助の目がわたしより下になる。
作之助が真っすぐに見て来るから、逸らせる視線も逸らせない……。
「総真に用があったの? 平和な話だった? 俺が聞いた感じだと殴り込みに行きそうってことだったから連れだしたんだけど……邪魔したかな」
………。平和な話ではないです……。
けど、そんなこと言えずに唇に力を入れて黙った。
……作之助を取られたから取り返しに行った、なんて本人に言えるわけがない。
今更ながら考えてみればふつーに恥ずかしい話でしかないよこれ!
「水都さん?」
「ごめん! わたしのこと見ないで!」
顔を両手で覆って、額が膝にくっつくように勢いよく体を折って更に顔を隠した。
嫉妬とか恨みつらみとか、それでも総真くんも作之助も大好きだって気持ちで頭も顔もぐちゃぐちゃだ。
みっともないしカッコ悪いし……こんなの知られたら呆れられて見捨てられてしまうよ……。
はあ……と正面からため息が聞こえて心の中でびくっとしてしまった。
こ、こんなことして友達失うなんて……っ、
「さく――」
「……無理には訊かないよ。ただ……俺が原因で水都さんを困らせてるかな。今朝からそんな感じしてたんだけど……そうだとしたら、俺に出来る限りのことはしたいと思うんだ」
恐怖に顔をあげたわたし向かって、作之助は穏やかにそう言ってくれた。
嫉妬の涙まみれの顔を見ても、作之助は微笑んでくれる。
作之助……本当に優しい人だ……私利私欲なわたしなんか、作之助の友達に相応しくない……でも……怖かったんだ、わたしは……。
「さ、作之助が総真くんと仲良くなったら、また……羽咲ちゃんのときみたいに、わたし独りになっちゃうと思って……」
「………は?」