チェリー・トラップ!
本文
「やっぱさぁ可愛くてエロい彼女がほしいよなぁ」
「いやお前、2つは望みすぎ」
入学式後初の登校日を終えた俺は、中学からの付き合いである友人とともに教室を出た。
ちなみに俺のなけなしの名誉の為に言っておくと、始めのバカな発言は友人によるものである。
この友人は中学の部活からの付き合いだった。
俺たちは中学時代、吹奏楽部に所属していた。
俺はトロンボーン、友人はトランペットである。
一般的な吹奏楽の座席配置で、トランペットとトロンボーンは、ベルの向き、音量の大きさなどの楽器の特性から最後列に並ぶ。
客席から向かって、左にトランペット、右にトロンボーンだ。
そしてそれぞれのパートのトップ奏者はステージの中央に座るので、中3の時にそれぞれパートリーダーだった俺たちはよく隣り合って座っていた。
それまでも仲は良かったが、中3の1年間で随分親しくなったと思う。
俺たちの通っていた中学の吹奏楽部は、地域ではそこそこ強豪で、練習もかなりきつかった。
その反動で、俺たちは吹奏楽が嫌いなわけではなかったが、高校でも吹奏楽を続けるか悩んでいたのだった。
それで話は冒頭に戻る。
友人は高校生活の中で一度は「可愛くてエロい彼女」がほしいから、高校生活を部活に捧げている場合ではないと主張したいらしい。