からふる。~第25話~
12月に入ると誰しも布団から出たくなくなる。


しかし、私の仕事は変わらず早朝4時から始まる。



「ふわぁ。おはようさーやちゃん」


「しゅうくん、おはよう。寒いのにランニング偉いね」


「運動してれば温まるし、寒さなんて関係ないよ。これからインフルエンザとかも流行り出すだろうし、運動して良く食べて良く寝て免疫力つけておかなきゃね」



本当にしゅうくんには頭が上がらない。


努力の人とはこういう人のことを言うんだな。



「そう言えばそろそろで澪先輩の誕生日だね」


「そっか、あと10日か。何するか考えないと」


「俺も手伝うよ。一緒に考えよう」


「ありがとう」



とニコニコしていられるのも今のうち。


数秒後には...。



「朝から何ニヤついてんだよ。さあやの顔みっともないぞ」


「なんだよ、その言い方。さーやちゃんに失礼だろ」


「っるせえ、紫雄には関係ないだろ」


「関係大有りだ。さーやちゃんを傷つけるやつは許さない」


「ヒーローぶってんじゃねえよ。レベルが低すぎて話になんねえ。やめだやめだ」



そう言うと黒羽くんは雑巾を取りに下りていった。



「なんだ、アイツ。大丈夫か?」


「いっつも意味不明だから特に異常はないと思うよ」



そう。


これが普通なんだ。


しゅうくんと黒羽くんが冷戦状態だというのに慣れてしまった。



「とりあえずオレランニング行ってくる」


「うん。行ってらっしゃい」



こうやって見送るのが日常の16歳は私くらいしかいないだろう。



< 2 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop