からふる。~第25話~
「澪の誕生日パーティー?ああ、それなら心配しなくていいよ。澪は遊び相手いっぱいいるから」


「えっ?」


「赤井くん、白鳥くんの株を落としかねない発言ですよ」


「ちげえよ。単にアイツはモテ男だって誉めただけだ。澪は優しくてカッコ良くて面倒見もいいから、男女問わず人気なんだよ」


「ですから、彼の誕生日パーティーは普通にお友達がして下さいます。今年は受験がまだ終わっていないので控え目にするといっていましたが、カラオケボックスでパーティーするそうですよ」



そうなんだ。


さすが人気者の白鳥先輩は違う。


寮のパーティーなんか出てる暇ないんだ。



「だけどよぉ、俺達だって澪のこと祝ってやりたいじゃん。最後になるんだし」


「そうですね。では前日に白鳥くんの好きな物を作ってお祝いするというのはどうでしょう?」


「軽いお祝いにはちょーどいいな。澪は何が好きなんだっけ?」


「白鳥くんはわりと渋いですよ。栗羊羹に粟まんじゅう、苺大福に...」


「待てよ。それ全部甘いもんじゃん」


「確かに...」



思い起こせば白鳥先輩は凜くんとは違う系統の甘党だった。


夏には涼しげな水まんじゅうを、秋には紅葉の形の和菓子を買ってきてくださったこともある。


しかも毎週金曜日はご褒美デーってことで和菓子を何かしら買ってきて夕飯後に食べているのを何回も目撃している。


和菓子と組み合わせるお茶には白鳥先輩なりのこだわりがあるらしく、緑茶と黒糖まんじゅう、アッサムと苺大福、ほうじ茶とかりんとうなど色んな食べ方をしているみたい。


それなら...やっぱり...。



「和菓子パーティーで決まりだな」


「私の姉が和菓子やに嫁いだんです。そこにお願いしましょう」


「それならそうと早く言ってくれよ~」



3年生にとっては最後の誕生日パーティー。


これは何としても成功させねば。


私も本気出しちゃいます。


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