仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
理事長室に着くと、彼はノックもせず……って、え!? ちょっ……!!
陽平くんはドアを堂々と開けた。すると、優しそうなお兄さんが座っていた。
「……ノックをしろって言っただろ。全く……」
「いいじゃん、陽愛連れてきたー」
なんでそんなに親しげなの。まさかの親族の方?
「あぁ、はじめまして。ここの理事長の神楽崎 悠真(かぐらさき はるま)です。朝倉さんよろしくね。」
かぐら、さき……神楽崎……え、まさか。
「神楽崎 悠介の弟なんだ。よろしく頼むよ。それに私は来てもらえて嬉しいよ。」
弟さん……すごくタイプが違う。真逆だ。
「……私、嬉しくすることなんてしてないですが?」
彼は似合わない笑みを浮かべて、私を見た。