仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
【庵 side】
「あれ? 二人は?」
「ん……置いて来た。意味わからんから。」
二人とは、我らが総長と朝倉さん。最近付き合い始めた恋人同士。
だけど、総長の女なのに“姫”にはならないという……本当に意味わからない。普通の女だったら、すぐに“姫になりたい”と懇願するのに。
「まぁ、あの子もいろいろあるんだよ。ほら、例の噂のことがトラウマになってるんじゃん? だから、陽平はよくある“姫になれ”みたいな強制的には言わないんだよ。」
と、理玖が言う。こいつ……女嫌いじゃなかったのかよ。
「残念だけど、女嫌いじゃないんだよね。ただ今までの女が最悪だっただけ」
そうだったのか、じゃあ……理玖は賛成ってことかよ。