仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。



「……俺、いらない。」


小さかったけどはっきり声が聞こえた。声の主は、蒼太くん。

やっぱり、私は受け入れてもらえていない。蒼太くんには特にそう感じる……。


「俺は、彼女が陽平の彼女だなんて認めない!! だって、こいつは所詮、月輝の元姫じゃんか。そんなやつ、信じられっかよ。」

「おい……っ!! やめろよ、蒼太!」


灰崎くんはそう蒼太くんに言う。それでも、私を睨んだ。

……そうだよ、陽平くんと昇さんと灰崎くんが私を認めてくれたようにその反対で蒼太くんや庵くんみたいに私を受け入れられない人だっているんだよ。

蒼太くんが言う通り……元姫だもん。噂を信じてる人なら、こんな奴が信頼できる総長の彼女だなんて納得できないよね……。

「……ごめんなさ「おい、蒼太黙れ」」

私の“ごめんなさい”を遮ったのは口を開かなかった陽平くんだった。





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