仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
「……それ以上言ったらおまえのこと、許さない」
今まで聞いたこともないような低い声で陽平くんは圧をかけ、蒼太くんを睨む。
「……っ、けど……!」
その言葉になにも反論できないほどに、今の陽平くんは怖い。だけど蒼太くんは納得できず反発し、お皿に盛られたお弁当を床に放り投げた。
「おい!! 蒼太、やりすぎだっ……」
灰崎くんの声が怒ってる。お弁当のおかずが床に散らばってるのを見てなんとも言えない気持ちになった。
「……蒼太くんの言う通りかもしれない。私は、所詮元姫だもんねっ……ごめんなさい」
「ひ、より……?」
「陽平くん、ごめんなさい。私帰るねっ……」
こんな私が、裏切り者だと言われた私が幸せになんてなれるわけなかったんだ。私には幸せになる資格なんてないんだって言われた気がする。
私は出口まで足を進めれば、もちろん陽平くんに止められる。
「……ま、待って!」
だけど私は足を止めるなんてできなかった。