仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。

タクシーで行きたかったけど、そんなお金もない。連れて行ってくれる優しい人もいない……
だから、自転車か徒歩しか足がなくて自転車を急いで走らせる。

急いで急いで……病院に着いたのは30分も経った頃だった。

「あの、朝倉 榛名の家族のものですがっ……」

「……はい、朝倉さんですね。ご案内します」

受付の看護師さんに連れられて病室に案内されて、そこには沢山の機械に囲まれるベッドに寝ているのは、痛々しい傷があるお母さん。

「……お母さんっ……」

「……朝倉さん、今夜が峠だと思ってください」


じゃあ、朝が来たらお母さんは死んじゃうかもしれないってことだよね……どうして、そんなっ……!



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