仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
【昇 side】
「陽愛……っ! ひよ、り……!!」
俺の目の前には、頭から血を流して倒れている陽愛ちゃん。そして、取り乱しているのは陽……。
こんな陽の姿……初めて見た……。前まで喜怒哀楽がないって思ってたのに。
「理玖、連絡しろ。」
「もうした。すぐに、行くって……まずは、陽愛の応急処置だな。」
……なんて、彼女の元に向かっている。さすが、仕事が早い。俺は陽か……。
「……その辺にしとけ。そいつ、それ以上やったら死ぬぞ」
何を言っても殴り続ける彼に俺は陽をなぐる。あの日と同じだ……っ
「もう、止めろ…!」
陽は下を向いてもう動かない。抜け殻だ。
俺は陽に声を掛けた時にはもう、彼女は病院へと運ばれていた。
「……行こう。きっと大丈夫だ。」