仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
総長室に入るなりキスをする。唇が触れ合う度に身体が熱くなっていくのを感じる。
「………んっ…」
彼の今日のキスは優しくない。怒ってるように激しい……。
「…陽愛が悪いんだからな。」
『陽愛が悪いんだ……俺らを裏切ったから』
なんで、なんでこんな時に彼が出てくるのよ……っ
彼が触れる手が怖く感じる。あの日と重なるように恐怖心が支配していた。
「ごめ、なさいっ……私。」
「ひ、より……っ!」
彼の手が私に再び触れたその時、
「陽愛ちゃん怖がってる…陽、感情コントロールはしろよ。」
入り口には昇さんが立っていた。そのおかげで彼は私から離れた。
「ごめん」
それは昇さんに対してなのか私に対してなのかわからないけど……
それは分からないまま、彼は私を残して幹部室に入って行った。
……のに、急にドアが開いた。
「……陽愛も一緒に。話、聞いて」