仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
「聞いて欲しいの?」
「……え、いや……そういうわけじゃ……」
彼は、自分のマグカップを机に置いて私を見た。
「言いたくないことを無理に聞かないよ。誰だって触れて欲しくないことあるだろ」
「……や、優しいんですね」
「優しいかな? 俺は…優しくなんてないよ。ただ、君が……いや、なんでもない。」
そう言った彼は、ココアを一気に飲むと立ち上がった。
「……飲めた?」
「うん……」
「貸して。片付けるからさ……あ、そうだ。俺、早川 陽平(はやかわ ようへい)。名前言ってなかったから」
彼はそう言うと私のカップも持つ。私も、名前…………
「私は……陽愛。私も名前…言ってなかったから」
「ひより、ね……先に風呂入りなよ。俺のスエット貸すから。」
お風呂…………?
え! お風呂⁈