仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。



「心から愛し愛されること。心もお金じゃ買えないものだから。
俺は、陽愛と出会えたことでわかるようになった。自分だけが愛してるだけじゃダメなんだって、相手からも愛されなきゃいけない。
愛し愛されることで信じようって思える。信頼が生まれる。」

信頼が生まれる、か……。
そういえば花凛のことを仲間として好きでもないし彼女からも愛情を感じなかったな。

俺らの中に初めから、信頼が生まれるはずないよな。


「花凛と月輝の関係は薄っぺらい偽物の信頼関係だったんだよ。」

「……!だけど、わたしには組員の」

「組員の奴らのことか……おまえの言ったことと俺や親父が言ったことどっちを従うと思う?」

「……そんな、私には従わないはずが……」

花凛はまだ分かってないようだ。身内である詠佑さんの言葉も響かない。

「なんでよ、なんで私の思い通りにならないのっ!」

花凛が叫んだその時、陽愛が動いた。彼女の前に立った瞬間……倉庫内にパチンッという音が響いた。



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