仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。




【陽愛 side】


自分でも驚いた。私が誰かに手を出すなんて……。
大きな音と同時に手がジンジンと痛い。

「いったいわねっ!何するのよ!」

「……それは、タキくんといっくん、月輝のみんなの痛み。」

もう一度彼女の頬を叩く。人が怒りに震えたら私でもこんなになるんだ……

「どう?痛かったでしょう?
みんなそれ以上に傷ついた。あなたのどうでもいい感情で振り回して。

無い物ねだりばっかりしてさ…あれもこれも欲しいって恥ずかしくないの?

あなたが手に入れたもののせいで誰かが苦しんでることわかろうともしないなんて……本当に人の心をなんだと思ってるの!」

「そんなの知らないわよ!私は愛されるべき人なの!だから「いい加減にしなさい、花凛」」

え……。
その声の主は月輝の人でも日向会のメンバーでも私でもない。悠介さんでも詠佑さんでもない……知らない人。



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