仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。


「ぱ、パパッ!」

ぱ、パパ……?ということは、花凛と詠佑さんのお父さんってことだよね?
その人が近くに来れば詠佑さんと悠介さんはお辞儀をする。

「詠佑、悠介くん頭をあげなさい。
……花凛、おまえには失望したよ。
花凛はそんな子じゃないと思っていたが……甘やかしすぎたようだ。

詠佑や悠介くんが報告してくれなければ花凛がしたことを私は知らなかったよ。」

“失望した”
その言葉に花凛は呆然としている。
父親に言われたからか、ショックを受けているようだった。

「……すまなかった朝倉さん。本当に、娘がとんでもないことを……。
本当に謝っても謝りきれないくらいのことをした…本当に申し訳ない。」

「…いや、あの顔を上げてください……」

極道の風格というか、頭を下げることが出来なさそうな人だと思っていたのに私に深々と頭を下げる。

「許されたいなんて思ってはおりません。この娘がやったことは、人の気持ちを踏みにじり傷付け、最低のことを犯した。
許されてはいけないことをした。」

そしてもう一度、頭を下げた。




< 203 / 283 >

この作品をシェア

pagetop