仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。



彼は頭を上げるとすぐに花凛のそばに近づいた。
「行くぞ」と言うと、彼女は放心状態だけど彼と歩き出した。
出入り口のところで一礼して花凛を連れ去っていった。

……だけれど、あれからずっと静かな空気が流れている。なんで誰も何も言わないんだ。


それに知らないうちに悠介さんと詠佑さんは居なくなっていて日向会幹部以上と月輝幹部以上しかいない。
日向会の下っ端くんたちはどこに行ったんだ?

「……陽愛、ごめん。裏切ったのは俺たちだ。本当にごめんなさい。陽愛、幸せになれよ」

「……それだけで済むとでも?謝ってそれで終わり?陽愛はお前らに裏切られてそれがトラウマになった。心身ともに傷つけられた。なのに、謝るだけかよ。」

そう、庵くんが言えば三間くんが唇を噛む。

「……そう、だよな。許されるなんて思ってはいない。だから、解散するよ」

三間くんはただそれだけを言って幹部たちを連れて1人残らず帰って行った。

「なぁ、終わったのか?」

「うん……終わったな」

「そうだね、終わった……」

なぜか急に出てきた下っ端くんたちが口を揃えて話をしているのを聞いて、実感する。
…私たちの戦いは終わったんだ。










< 204 / 283 >

この作品をシェア

pagetop