仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
「ひ、よりっ……!」
私を呼ぶ声がする。だけど振り返れない。
だって、もう……捨てられたくない。
陽平くんのこと大好きになっちゃったんだよ…だから、もう………
「陽愛っ……!どうしてっ」
なのにどうして君は私を追いかけてくるの?
好きじゃないなら追い返してよ……っ
「私、帰る……」
「え……なんでっ」
「陽平くん、さっき女の人とキスしてた……もう、捨てられたくないから。」
「……っ! 見て、たんだ……ごめん」
その瞬間、彼の掴む力が緩んだ。その隙に私はその場所から走った。
いや、逃げ出したんだ。またあの日のようになるんじゃないかって。
ただ、ただ、怖かった……。