仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
すると、常に笑わない彼が満面の笑みを浮かべた。
「早く行ってこいよ!」
そう言って肩を叩き、昇は龍太さんの病室方面に勢いよく押した。
聞こえなかったけど、なにかを小さく呟いてから病院の出口へと帰っていく。
そんな昇の後ろ姿を見ると、俺もいつもの廊下を歩く。彼の言っていたことが気になって仕方ない。
エレベーターで8階まで上がり、彼の病室の扉の前に来たけど……なんだか緊張する。
いつもはしない深呼吸してをして、ドアを開けようとした時扉が急に開いた。
……っ⁈
え、……俺夢を見てるのかな?
「陽平……久しぶりだね。」
俺の前には……あの日以来意識不明だった龍太さんが立っていた。