仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
卒業式が終わったらお兄ちゃんと行こうって話してた約束の場所。
少しだけ電車に乗った場所にある海の見える墓園。そこにはお母さんが眠るお墓がある。
「お母さん、来たよ。久しぶりだね」
【朝倉家之墓】
ここは病院を介して紹介してもらった海が綺麗に見えるお墓。
「……私ね、お母さんがあの日居なくなって本当にひとりぼっちだと思ったの。寂しくて寂しくて、仕方なかった。
だけどね、私にも大切な人ができた。それにお兄ちゃんとも出会えた…だからもう寂しくないよ。
もう、1人じゃないから。だから安心してね。
私、すごく幸せだよ。」
手を合わせ、目を瞑る。
ねぇ、お母さん。
私、強くなれたかな?あの日泣いてばかりだった。だけど、それを慰めてくれるお母さんはもういなくて抜け殻状態だった。
きっと心配したよね?だけどね。
今は、私には大好きな人がいて
大切な仲間がいて…
唯一血の繋がりのあるお兄ちゃんがいる。
たくさんの人が私の周りにはいるから。もう寂しくない…だから。
また会いに来るから待ってて。
私、これから先お母さんが羨むくらいに幸せになるから……これからも見守っててね。
目を開くと、まだ目を閉じて手を合わせている彼ら。長いなぁ…なんでこんなにも長いの?
「長いね?2人とも」
「陽愛が短いんじゃない?俺は…言わなきゃダメなことあるからさ」
「俺も、伝えなきゃいけないことあったし…彼女の親なんだから当たり前でしょ?」