仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
あーあ……何やってんだろう。
私、なんでこんな目にあったんだっけ?
『ずっと守るから』
その言葉を信じたから。こんなにも辛いんだ。
彼らと私にはなんの信頼関係なんて存在してなかった。それだけだよ……。
「信じたから。信じた私が、悪いんだ……よね」
やっぱり、海は綺麗だなぁ……海の中で死ねば誰にも傷つけずに死ねる?
もし、……死ねたらお母さんに会えるかな?
……私、海になりたいなぁ…………なんて訳わからないことを考える。私はどんどん海に足を進める。歩く足は止まらない。
すると足元は冷たくなって行き、海の水が腰くらいまで浸かり始めた時……。
『陽愛……』
お母さんの、声……?
冷たかったはずなのに、いままで感じてなかった温もりに包まれて意識を失った……。
『陽愛、生きて』
その時、たったその言葉だけが木霊していた。