仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。


「……陽愛、帰ろ。昇、また連絡する」

そう言って、私の手を握る。階段を降りれば不良たち。
彼が帰ると知れば、振り向いて「お疲れ様です」なんて言う。


……あぁ、この光景知ってる。

私も数ヶ月前は実際にいて見ていた光景だから。

そっか……陽平くんもあの人たちと同じ“暴走族”なんだ。


彼に手を引かれて外に出る。陽平くんは知ってるのかな?

私の正体。私が月輝の元姫だって。
本当じゃなくても“裏切り者”だってこと……。

暴走族なのに知らないはずない。近所にも広まっていたぐらいだ。

それより早く、すぐに広まってるに決まってるじゃん……
なのに、どうして私と一緒にいるんだろうか……




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