仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
少しだけ深呼吸をして、急いで昇がいるであろう部屋のドアを思いっきり開けた。
すると、ベッドに座っている陽愛と横に立つ昇がいた。
昇がいるけど…そんなの関係ない。構わずに彼女を抱きしめる。
「良かった…」
彼女の手を握り、ここを出た。きっと気づいたと手から伝わってくる。
…そりゃそうだ、下に降りたら不良ばかりいて気づかないはずがない。彼女も一応関係者だったんだから。
俺は意を決して、彼女を車に乗せた。車内はとても静かで家までの道が長く感じた。