仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
……なのにね。
「あ! 噂をすれば!! “月輝”の方々が来たよー! 今日もキラキラしてるね〜〜カッコいい!」
“月輝 Gekkou”とは、この街一番の暴走族のことだ。月輝の話をしているほとんどかね生徒たちは目が輝いていて、憧れの眼差しで女子も男子も彼らを見つめている。
「ほんとだ! それに、姫の花凛(はなり)ちゃん可愛いよね〜。前の姫とは大違いだね」
彼女らは私を見ながら馬鹿にした感じに笑い、そう言った。先ほどのように私に聞こえるようにはっきりとした口調で。
花凛とは、月輝の現在姫である白鳥 花凛(しらとり はなり)。
可愛くて天然な彼女。いつものようにショートボブの髪をふわふわ揺らして彼らに引っ付いている。
彼らが歩いてこちらに近づいて来る。まぁ、校舎に入るんだから当たり前だけどなんせ、私は校舎前にいるからねぇ……。
あーあ、今日は早く来る日だったのか。会っちゃうなんて最悪……。