仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
「はぁ? おまえも騙されてんじゃねーの?」
なんて短気な幹部が言って回し蹴りをしようとしたから咄嗟に目を瞑る。だけど何も当たるどころか陽平くんに抱きしめられていた。
彼のぬくもりが離れて彼らを見てみたら、あの一瞬で何が起きたのか……彼らは倒れて「いてぇ…」なんて言っている。
「お前、何もんだよ。どっかの族入ってるのか……?」
「……は? 入ってるわけねーじゃん。ただ、陽愛とファミレス帰りの19歳だけど。」
何、ファミレス帰りの19歳って……。
しかも、暴走族に入ってるでしょう?
だけどなんで彼らは知らないの……? 暴走族なのに。
「……てか、退いてくれない? そこでさ、転がってないでさ。」