仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
『もう少し居てあげたい。』
『なら、姫にしちまえばいいんじゃねーの。』
……やっぱ、それ聞くよな。俺も普通の女子ならそうしたはず。
『……まだそん時じゃない。お前らにもまだ紹介はしない。俺は暴走族だとは言ったが、総長だということは知らないからな。』
『はぁ!? マジかよ……じゃあ、お前が言ってたあれは本当なのか? なぁ、信じていいのかよ。』
『あぁ、信じろよ。もし何かあれば俺が責任取るから。』
そう強く言うと昇は「わかった。こっちは任せろ」と言ったからホッと一安心して電話を切った。
だけど、彼の言った言葉が耳から離れない。
“一応総長だし……仮のな”
俺は、堂々と総長だなんて言えない奴で前の総長の代わりにやってる代理。
ちゃんと“総長”だと名乗れないのはそのせいかもな。