仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
私の頭の中には1つ思いつくことがある。彼の所属する暴走族が襲撃されたのかもしれない。もしかして危険なのかもしれない。
「……行きなよ。」
「え……」
「……大切、なんでしょ?それに陽平くんを今必要としてるのは、……彼らだよ。」
私だって、暴走族と関わっていた身だ。
全部は理解出来ないが、きっと陽平くんを待ってるはずだ。
「……でもっ……」
「ほら、……行きなよ。早く行かなきゃダメだよ。“総長”さん」
私が総長だと言うと驚いたのか目を見開いたけど、すぐに真剣な表情をする。
「陽愛はここにいろよ……行ってくるっ……」
彼はグレーのVネックのTシャツに黒のパーカーを着て出て行った。
彼の出て行った音が聞こえ、部屋の中はとても静かだった……。