仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
「…ぁ、陽愛ちゃん……っ」
いつものようにか弱そうな声で彼女が私の名前を呼んだ。出たよ、ぶりっ子彼女の得意な演技が始まった。
「……まだ、来てたのかよ。こいつが怖がるから来んなって昨日言ったよな」
「……ほんと、なんなのさ。こんなやつが昔の“仲間”だったなんて俺らの黒歴史だな。」
……好き勝手に言って。私を仲間にはしたのもあんたらで、私を追い出したのも花凛を信じたのもあんたらじゃんか。
「なんとか言ったら?」
はぁ? なんであんたらに何かを言わなきゃいけないの?
こんなやつらに何かを言う気には今日もならなくて無視をして歩き出そうとしたけど、それを今日は出来なかった。