仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。


急に揺れていた車内が止まった。ドアが開く音が聞こえる。


「あれ? お姫様起きちゃったの? 早いね」

…だれ……?
というか、目隠しされてて何も見えない。本当にどこに着いちゃったの?

彼らに降ろされると何かがぶつかる音や叫び声が聞こえて騒がしい。


「日向の奴ら必死だな。」


1人2人の足音が聞こえると、強引に引っ張られる。


「もう、終わりかよ。」

圧がかかった声……やっぱり陽平くんだ。なんか急に静かになったけど、どうしたんだろう……。


「この子を見ても早川陽平は、そんなこと言えんのか?」


そう嘲笑うように話す男の声が聞こえた瞬間、急に強く押されて転んだ。


目隠しのために目も見えない、

手足は拘束されていて全く動かない……


自由なのは口だけ。

どうしようもなく怖かった。


でも、急に前が明るくなったと思ったら見えたのは月輝より大きな倉庫の中。

そして、私を見つめる彼…陽平くんだった。陽平くんが総長を務めてるチームの倉庫だったの……?




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