仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。


「悪いけど知ってるから、全部……噂なんてものは簡単に流れてくるもんだからな。だけどさ、俺信じてないから。」


え……?


「第一にさ、俺は噂自体……好きじゃない。噂は所詮噂でしかない。そんな誰が流したかわからないものを信用なんてできない。流されるやつはバカだな。そんなのに傷つく必要ないと思う……」


彼は私の頭をポンっと叩く。


「まぁ……あれだ。俺、見たことしか信じないから。それに、女嫌いじゃないし。ただ単にめんどくさいだけ。……陽平と同じ意見だよ、姫になりたくないならならなくていい。」


この人、根はいい人なのかな?


「それに、俺は灰崎 理玖(はいざき りく)。ちゃんと名前あるんだけど。」

「ご、ごめん。灰崎くん……」


そう言うと彼はデコピンをする。地味に痛い……。


「陽愛、困ったことあれば言えよ。もうじき陽平帰ってくるよ。バイクの音が聞こえる」




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