仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。


怪我した私は、重たい体を引きずりながら歩いて学校から出る。高校の制服を着てこんな怪我をしてる私に誰も何も言わない。


ましてや、「大丈夫?」なんて聞いてはくれない。

だって、この街には……しっかり、噂があるはずだ。彼らはこの街でも有名な正統派な族だからこの街のヒーロー的存在だから。

仲間を捨てるのに正統派って……笑えるけど。


「……あっ、あの子ってあの月輝の元姫じゃない?」

「あら、ほんとだわ。」


街のおばさま方も私のことを知ってるんだな……きっと可愛そうなやつじゃなくて、“自業自得な姫”だと言われてるんだろうね。


「怖いわねぇ……」


ある人は元から裏切るつもりだったとか言って、

ある人は現姫への嫉妬で彼女をいじめたとか……。

まぁ、全部ハッタリだけど。


それよりも早く、早く……帰りたい。

誰も助けてなんでくれないんだから、家に帰ってお母さんの笑顔が見たいよ。







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