仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。



「……すご。」

「うん、そうだね」

「……すごすぎでしょ、」


たしかにすごい。圧倒されるよ……お祭りってこんなにすごいの?

……人、多すぎでしょ!?

あっちもこっちも、人人人……人ばかりだ。


「行こ、陽愛ちゃん。りんご飴食べよーよ!」

「おい、はしゃぐな。庵(いおり)」

「なぁ、なぁ! 俺、焼きそば買ってくる!」

「おい!待て蒼太(そうた)!!」


今日は、あのお屋敷の住人……日向の幹部以上の人とお祭りに来ている。

……みんな自由行動してるから陽平くんは困って疲れてる。


「ははっ……あいつらは何とかなるよ。今年は華があるから楽しいんじゃない?」


……華?


「……うん、陽愛ちゃんと握っとれよ。はぐれないように」

少しだけ強く握られながら歩き出す。後ろに2人いるから大丈夫だと思うんだけど……。




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