仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
だけどそれと同時に申し訳ない気持ちになる。こんなによくしてもらってるのに、学校転校話も曖昧にして……日向の姫じゃないのにみんなに守ってもらうばかりで……。
「陽愛……? どうした?」
たくさん感謝しなきゃいけないのに、何も返せてない……。
「ごめんね、陽平くん……」
「え? 急にどうしたの?」
「私、なんも返せれてないことが申し訳なくて……。」
下を向きながら言うと、急にデコぴんされておでこが痛くなった。
「ちょっと!! ……痛いんだけど……!」
「陽愛は笑っていてくれればそれでいい。俺は見返りなんて求めてない。」
「……っ!」
彼は次の瞬間フッと笑うと私の顎をグイッと上げて言った。