仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。
彼らを見送りながら、彼に手を引かれて校舎に入る。
「え! この時間に早川さんいる!!」
「本当だ! 最近学校来てるとこよく見るよね」
陽平くん、学校あんまり来てなかったの……?
なんか、嫌なことでもあったのかな。
「カッコいい〜〜!!だけど、あの隣の女は誰?」
「手繋いで、ムカつく! そういえば、祭も一緒にいた!」
……うん、わかってはいたけどやっぱ言われるよね。しかも陽平くんには聞こえないように言うなんて性格悪いなぁ。
ざわざわしていた廊下を抜けると人気は全くない場所に出た。廊下なのに、誰もいない……?
「本当、うぜぇ……」
「……陽平くんでも、そんなふうに言うんだね」
「疲れたから充電……」
陽平くんはぎゅっと私を抱きしめた。私は、誰か通らないかなぁとヒヤヒヤしてドキドキしていたけど……彼はすぐに離れた。