モノクロリバーシブル
「神様から頼まれて調合した、人格を分ける薬だよ。試作品だけど」

「ありがと」

「……え、えっと……話についていけないんだけど……?」

「あぁ、実はね……」

僕と弥勒は、潤に秘密を話す。転生したことや僕が二重人格になったことも。

「……でも、弥勒。何で潤の前で魔法薬を渡したの?」

「……これからのことを考えたら、話した方がいいかなと思って。春明と俺の力だけで、お前の中にいるやつに勝てるかどうか……神様曰く、物の怪と化した、あいつを倒さなければいけないんだって」

「……分かった。弥勒、魔法薬をちょうだい」

弥勒に向かって手を出すと、弥勒は僕に魔法薬を渡してくれた。ビンのふたを開けると、一気に飲み干す。

次の瞬間、目の前が光って、僕は思わず目を閉じた。しばらくしてから、僕は目を開ける。

僕の目の前には、白髪に灰色目の、白と黒が反転した服を着た僕そっくりな男の子が立っていた。

「……君は?」

「……秋彦(あきひこ)」

そう言って、秋彦は僕に蹴りを入れる。その衝撃で、僕の体は床を転がった。

「春明!!」

「……っ」

顔を上げて、僕は秋彦を見る。

「はっ。こんなやつの中に、俺はいたの?……まぁ良い。じゃあね!」

そう言って、秋彦はその場から姿を消した。
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