モノクロリバーシブル
昔話をしようか
「……」
秋彦が姿を消して、1週間が経った。あれから秋彦の姿は見当たらないし、物の怪の様子がおかしい。
「ねぇ、春明」
僕が通学路を歩いてると、僕の隣を歩いてる潤が話しかけてきた。
「ん?」
「昔住んでた世界では、どんな職業に就いてたの?」
「……僕は剣士で、弥勒は魔術師。弥勒は、魔法薬術にまで優れてるんだ」
「だから、簡単そうに魔法薬を作ってたんだ……」
僕の言葉に、潤は納得のいく顔を見せる。
「じゃあ、何で弥勒は春明の式神に?」
潤の言葉に、僕は空を見上げると口を開いた。
「僕と弥勒が出会ったのは、5歳の時だった。それと同時に、母さんの正体も知ったんだよな」
この世界に転生して、早5年。大分この生活にも慣れてきたな。
僕が庭で陰陽術の特訓をしていると、ガサッと音とともに草の茂みから1匹の白の毛に赤い目の狐が飛び出してきた。
その狐は傷だらけで、歩く旅にふらついてる。
「……大丈夫?」
僕はその狐に近づくと、その狐を抱え上げた。狐は、じっと僕を見る。
『……春明……ようやく会えた……』
「え?き、狐が喋って……てか、何で僕の名前を……?」
『……俺が分からない?』
ピョンと僕の腕から飛び降りると、狐の姿が煙に包まれた。