モノクロリバーシブル
人の感情に引き寄せられて取り憑いた物の怪は、その人が苦しみから解放されると、自然と消えていくんだよね。

「結局、前世でも来世でも一人ぼっちなんだ!」

「違う!一人ぼっちじゃない!」

僕は、月影丸の柄をギュッと握り締めて叫ぶ。

「君は、一人じゃない……僕がいる。これから幸せになれば良いんだよ」

「ふざけたことを言わないでよ」

僕と秋彦の刀がぶつかり合う。

「ふざけてなんか無い。僕が秋彦の友達になるよ」

「皆、そう言う!どうせお前も離れるんだろ!」

僕と秋彦の刀が交わる音だけが、部屋に響いた。

「……春明は、そう言う奴じゃないよ」

静かな声が響く。声を出したのは、ティアだった。

「僕も孤独だった時期がある。だけど、それを救ってくれたのは春明だった。『今日から僕らは、友達な』って、手を差し出してくれた。その日から、春明は僕とたくさん会ってくれて……弥勒とも仲良くなって……おかげで、毎日が楽しくなったんだ」

そんなことあったな……。

「……」

秋彦は、僕から離れる。秋彦の目から一筋の涙が零れた。え、秋彦は何で泣いて……?

「大丈夫。心配しなくて良いから」

秋彦を抱き締めると、秋彦は泣き崩れる。いつの間にか、物の怪の気配が無くなっていた。

「だからさ。僕と友達になろ?」

「……うん……」

気が付くと、秋彦の体は光り始める。そして、その光はそのまま消えていった。
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