モノクロリバーシブル
「おはよう」
僕は、すでに起きていた弥勒に挨拶をする。弥勒は「おはよう」と微笑んで、テーブルにご飯を並べた。
「ホント、弥勒くんは働き者だよね。お母さん、助かっちゃう」
母さんは、そう言って弥勒に笑顔を見せる。
式神の弥勒のことも、母さんは家族みたいに思ってて、弥勒も僕らを家族みたいに思ってるんだ。それは、僕も一緒だけどね。
「……っ」
ズキン、と頭が痛くなって、僕は思わず頭を押さえた。
「……春明?」
弥勒は、真剣な顔で僕をじっと見る。
「弥勒……大丈夫だよ」
そう言って、僕は微笑んだ。弥勒は僕を無言で見つめた後、「そっか」と安心したように笑う。
「とりあえず、ご飯食べてから学校行こうか」
そう呟いて、席に座った。
僕は、一人で通学路を歩く。今、僕は高校1年生なんだ。弥勒は式神を封じ込めた紙、お札にして、僕の制服のポケットにしまってあるよ。
「おーい!」
声がして、僕は声がした方を向いた。そこにいたのは、僕の友達である潤(じゅん)。
ちなみに、僕らの学年の中で僕の正体を知っているのは、誰もいない。
「おはよう」
僕が潤に挨拶をすると、潤はハッとした顔を見せた。
「へ……?」