モノクロリバーシブル
急に潤は、僕を強く引き寄せる。次の瞬間、僕の目の前に物の怪が姿を現した。

「……っ!」

僕を潤の後ろに隠すように、潤は立つ。……え?

「比岸を彷徨いし御霊を、今ここで払いたまえ!」

……この言霊……。

潤は、何で除霊の言霊を知ってるの?もしかして、潤も陰陽師?

潤が唱えた瞬間、物の怪は霧散するように消えていった。

……まだいるな。どこにいる?

僕は辺りを警戒するけど、何の姿も見えない。

その時、僕のポケットからヒラリとお札が落ちて、煙が上がった。

「……ホント、気配察知は苦手なんだな。俺の主は」

煙が晴れると同時に、何かと何かがぶつかる音がする。この声は……。

「……弥勒!」

弥勒と同じぐらいある大きな杖と、物の怪の爪がぶつかり合っていた。

あ、そっか……弥勒の使ってる杖は、強度が高くて軽いんだっけ……。

「え?君は……?」

不思議そうに、潤は弥勒を見つめる。

「ほら、春明。行くよ」

「分かった。月影丸」

僕は月影丸を作り出して、構えた。そして、深くため息をつく。……久しぶりだけど、うまくいくかな?

僕は月影丸に霊力を込めて、物の怪に近づいた。

「……霆撃(ていげき)」

月影丸の刃に稲妻が走る。地面を踏み込んで、僕はそのまま物の怪を斬り付けて倒した。
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