私は月夜に恋をする
見えない暴力
「ただいま」
「あら、おかえりなさい」
玄関で迎え入れてくれた母は、とても優しい人だ。
自分と血が繋がってるのかと疑うぐらいにお人好しで、少し抜けていて、
40にもなるのにとてもそうは見えない。
可愛らしい人だ。

「今日は......お父さんいるの?」

そんな母に、私は一つだけ隠し事をしている。傷つけたくなくて、ずっと言えないまま
気づけば数年が経っていた。

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