私は月夜に恋をする
「意外と広いんですね」

先に着いてた陽介先輩がこちらに手招きしている。
怖々近づいてみると、
ダンボールの中に何やら黒い塊が蠢いていた。

「にゃー」

「俺と秋で面倒見てんの、こいつ。
名前はまだねぇんだけど、可愛いだろ」

黒い塊の正体は小さな黒い子猫だった。
小さな鳴き声を上げながら陽介先輩と秋の手にすり寄っている。
彼等の事を親とでも思っているのだろう。
その姿がとてつもなく愛らしかった。

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