私は月夜に恋をする
所詮戯言だ。
そう簡単に何かが変わる訳でもない。
自分も変えられないのに。

"春日(かすが)(みこと)"
見飽きた自分の名前の書かれた学生鞄を手に持って、夕暮れ時の白く輝く月を見上げながら、腰掛けていた学校の屋上にあるフェンスから軽く飛び降りた。

なんて言っても、降り立ったのはちゃんと屋上のアスファルトの上。
先程まで座っていた分厚いフェンスとの高低差は僅か1mだけ。

反対側に飛び降りてしまえば、
4階の高さから地上に叩きつけられる訳だが。
< 3 / 90 >

この作品をシェア

pagetop