私は月夜に恋をする
「深山先輩」

「......」

最近彼は私の事を無視するようになった。
でもそれはただ無視をしている訳じゃなく、
下の名前で呼ばれたいが為の行動らしい。
困惑していた所、陽介先輩がそう教えてくれた。

「─────あ、秋」
「なぁに、命」

声を絞りだすと、彼は満足気に頷く。
最近変わってきたことと言えば
こうやってお互いを下の名前で呼ぶようになったのと、秋の表情だ。

「よく笑うようになったよね」

最初は薄っぺらく感じた笑顔も、
段々と種類が分かるようになってきたのだ。
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